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カテゴリ:スーザン・E・フィリップス
  • いつか見た夢を スーザン・E・フィリップス
    [ 2008-07-24 07:58 ]
  • 麗しのファンシー・レディ スーザン・エリザベス・フィリップス MIRA文庫
    [ 2007-12-18 09:26 ]
  • まだ見ぬ恋人 スーザン・E・フィリップス 二見文庫
    [ 2007-11-03 10:56 ]
  • 愛はジャスミンの香り スーザン・E・フィリップス MIRA文庫
    [ 2007-10-19 10:05 ]
  • 幻想を求めて スーザン・E・フィリップス 二見文庫
    [ 2007-01-07 09:45 ]
  • あなただけ見つめて スーザン・E・フィリップス
    [ 2006-12-23 20:19 ]
  • キスミーエンジェル スーザン・E・フィリップス ライムブックス
    [ 2006-07-11 11:50 ]
  • あなたがいたから スーザン・E・フィリップス ライムブックス
    [ 2006-03-11 19:25 ]
  • トスカーナの晩夏 スーザン・E・フィリップス 二見文庫
    [ 2006-03-01 14:42 ]
  • ファースト・レディ スーザン・E・フィリップス 二見文庫
    [ 2006-01-27 18:29 ]
いつか見た夢を スーザン・E・フィリップス
SEPの最新刊。
本国でもこれが最新刊なので、あとは初期作以外は、とうぶんは読めないのです。
じっくり丁寧に読みましたが、やはりあっという間に読み終わっちゃいました。うますぎ。

ヒーローは、前作「まだ見ぬ恋人」で、軽薄なハンサムボーイとして登場したディーン。
本書の原題、「生まれながらの魅力の持ち主」まさにそんな男性です。

そのヒーローが、汗くさいビーバーのきぐるみを着て、道を歩いているヒロインを拾うところから
本書はスタートします。もうこのシーンからつかみはばっちり。

シカゴ・スターズのクオーターバックであるヒーローは、怪我で休養中。
テネシーの田舎にある農場を買い取って改装中なので、そこを見に行く途中。
ヒロインは、世界平和を願って働く母親に、なけなしの貯金を全額引き落とされ無一文、
信頼していたBFを追いかけて遠くまでやってきたのに、そこでも裏切られ、住まいも車もなく・・・・、
とまさに「崖っぷち」。
ヒロインは、食いつなぐために、なんとかヒーローにくっついていこうと画策し、
ヒーローは、ヒロインが自分のセックスアピールに陥落しなかったことで、俄然闘志を燃やし・・・。

結局2人は、ヒーローの買った農場で過ごすことになりますが、
そこに、次々と予期せぬ人物が増えていき・・・・・・・。

いつものSEPです。まったくいつものSEPです。
ヒーローは、自信家で魅力的で裕福な一流スポーツ選手。
ヒロインは崖っぷちw
その2人が、一緒に過ごすはめになって・・・。
サイドストーリーのカップルはヒーローの父と母(未婚)。
父はロックスターで、母は元グルーピー。
悩めるティーンエイジャーの異母妹。町の嫌われ者の富豪の老女。

SEPを読破した人なら、すべて「前に読んだことのある」設定や筋運びだけで
できているといっても過言ではないのですが、
そういう意味ではまさに「作者のお得意」パターンだけを集めて書いているので、
とにかくどこもかしこも面白いです。
そして登場人物達のウィットとユーモアと辛辣さがミックスした会話が絶好調で、たまりません。

前作「まだ見ぬ恋人」では、シカゴスターズのシリーズの登場人物を
再出演させることにエネルギーがさかれ、
その分、主人公カップル&サイドカップルの描かれ方が薄っぺらく、
いつものSEP節が薄かったので、「パワーが落ちたのかも」と心配したのですが、
今作は、シリーズに関係する登場人物は、ほとんど出ませんが、
作品としてはSEPらしさ全開の作品となりました。

ただ、ラストにかけての「自信家ヒーローが、ヒロインの愛に目覚めてから、ヒロインに逃げられ、
猛反省してヒロインを取り戻すために悪戦苦闘する」という、
いつもの黄金パターン(そして私はなによりここを読むのが楽しみ♪)が
今回は、ぬるかったです。

そこだけ除けば、パーフェクトな出来だと思います。
コメディタッチのロマンス小説では、
やはりSEPは右に出るものがいないダントツの面白さです。

by yun-yunn | 2008-07-24 07:58 | スーザン・E・フィリップス
麗しのファンシー・レディ スーザン・エリザベス・フィリップス MIRA文庫
「レディエマの微笑み」の前作に当たる作品。
17年も前に描かれた初期作、なおかつ上下巻900P近くに渡るとあって、
期待と不安が入り交じりつつ即購入。

話は、現在の成功したヒロインのプロローグから始まり、
過去を振り返る形で、ヒロインの母の生い立ちから始まります。
有名ファッションデザイナーの母に顧みられることなく育った
ヒロインの母は、外見だけが幸せの鍵と信じ、
ヒロインを甘やかし放題に育てます。

序盤は、ヒロインの美貌と優雅な上流生活が語られ、
ヒロインは、なんとイギリスの皇太子にプロポーズされたりもします。
母の急死とともに財産を失いますが、
全然窮地に陥ったことを自覚していない楽天的なヒロインは、
映画女優になる話に釣られ、手持ちのブランド品を売って、小金を作り、
イギリスから、縁もゆかりもないアメリカへ渡ってしまいます。
撮影現場で話が違ったとわかり、怒って衣装のドレスのまま飛び出しますが、
道に迷い、行き倒れ寸前を、ヒーローに拾われます。

ヒーローは、試合のため、アメリカ全土を渡り歩くゴルフプレーヤー。
才能はあるのだが、ここいちばんに弱く、
いつもぎりぎりで優勝をのがしてしまう。
ヒロインは、外見ばかりを気にする虚栄心と非常識な行動で、
ヒーローを何度も激怒させ、放り出されそうになるが、
旅を続けるうちに2人は惹かれあい、関係を持つようになる。

他にすがるもののないヒロインは、それを恋と思いこむが、
ヒーローが、実は幼なじみと結婚継続中である事実が明らかになり、
大げんかして、ヒーローの元を飛び出す。
ヒロインはさらに、イギリスへ帰るために必要ななけなしの所持金と手荷物を失い、
文字通り着の身着のままの一文無しで、荒野に放り出されるはめになり、
そこで、今までの自分を捨て去り、
新天地アメリカで、新しい自分に生まれ変わることを誓います。
ここまでが上巻です。

母の生い立ちにまでさかのぼって、過去から語る形になる上巻ですが、
息をつかせないほど面白いです。
やることなすことが勘違いで、自ら崖っぷちへ突き進んでいく
ヒロインのエピソードの数々、そしてヒーローとの丁々発止のやりとりは、
のちの傑作とほぼ同等かそれ以上に面白いです。

さらに、ヒロイン母、ヒロイン、ヒーロー、ヒーロー妻などの過去が痛々しく、
胸をえぐるようなエピソードがちりばめられていて、
「泣かせ」の部分もすばらしく、さらにヒロインが「自己再生」を誓う当たりは
SEPの真骨頂とも言える部分の完成だと思いました。

が、後半。

下巻に入り、無一文で、なおかつヒーローの子供を
妊娠しているとわかったヒロインは、
たまたまたどり着いたラジオ局で下働きの仕事をして、
生き延びることになる。
ここで、生まれて初めて誰に頼ることもなく本物の苦労をしますが、
ここから浮上までが早すぎ。
実質数週間にすぎないどん底生活。ぬるいぬるすぎ。

そして10年後に話が飛び、ようやく冒頭の時間軸に戻って話が進みます。
ここからは、よくあるシークレットベイビーもの(といっても息子は9歳)になるわけですが、
ここからがつまらないです。
ヒロインは独力でTVキャスターとして成功を収め、
ヒーローはあいかわらず優勝を逃しつづける日々。
ヒロインの華やかな日々、再会したヒーローと息子の葛藤などが語られますが、
上巻に比べると生彩に欠き、構成も散漫で、
後のSEPとしてのスタイルが完成されていないことを感じさせられます。

SEPのキモは、調子こいたヒーローがヒロインへの愛を自覚して、
取り戻そうとしてドツボにはまり、ぎりぎりでヒロインの愛を勝ち取る部分にあると
思うのですが、そこに当たるエピソードも、内容、分量ともに薄くて物足りないです。

いろいろな意味で、野心作、そして
後のSEPとなる土台が作られた実験作なのだというのが感想です。
読み応えはたっぷりあるし、やはり他の作家にはないSEP独特の楽しさ、
面白さがあるので、読む価値はあり!ですが、
あくまで初期作、という位置づけで読むのがいいと思います。
by yun-yunn | 2007-12-18 09:26 | スーザン・E・フィリップス
まだ見ぬ恋人 スーザン・E・フィリップス 二見文庫
SEPの最新作。「シカゴ・スターズ」シリーズの6作目に当たります。
5作目ヒロインのモリーの親友と、5作目ヒーローのケヴィンのエージェントのお話です。

ヒロインは、優秀でワーカホリックな実の家族の中で、
何をやってもぱっとしない落ちこぼれの異端児。
祖母の残した古い家に住み、祖母の経営していた結婚仲介所を引き継いで
リニューアルして成功を目指している。
が、顧客は祖母のなじみの老人ばかりで、見通しは明るくない。

親友のモリーのつてで、やり手で裕福なエージェンシーであるヒーローを
顧客として紹介してもらう。
貧困の中から努力して成功した彼は、自分の経歴にプラスをもたらす、
名家出身の完璧な女性と結婚したいと希望している。
すでに大手の結婚仲介所と契約していた彼は、
しつこく食い下がるヒロインに対し、
24時間以内に理想の花嫁候補と引き合わせることを要望する。
ヒロインは策を弄し、見事に彼との契約にこぎつける。

ヒーローは、花嫁候補とのお見合いに、ヒロインが同席して仕切ることを要求し、
ヒロインと、ライバルの結婚仲介業者は次々と候補を用意するが、
どれもうまくいかない。
一方、ヒーローは、シカゴスターズのオーナーである
フィービィーを激怒させてしまった過去があり、
ヒロインがフィービィーの妹のモリーと親しい事を利用して、
フィービィーに取り入り、関係を修復させようと考える。

そんなこんなの出来事が続いている間に、
ヒロインはヒーローにどんどん惹かれていき、
2人は、モリーの別荘のコテージで結ばれる。
が、ヒーローの花嫁捜しの決意は変わらず、ヒロインはプライドを守るためと、
仲介業者としての仕事を続けるために、彼に恋していないふりをして、
新たな花嫁候補を送り続けることに・・・。

シカゴ・スターズシリーズの集大成と言える作品です。
1作目カップルのフィービィーとダン、5作目カップルのモリーとケヴィン、
その他関連作の登場人物の名前が至る所に出てきます。

人生の巻き返しを謀るヒロイン、ちょっと調子こいてるヒーロー、
丁々発止のやりとり、
さんざんヒロインをないがしろにした後、一転彼女への気持ちに気がついて、
ぼろぼろになってヒロインを追いかけるヒーロー、
といつものスーザン節が楽しめます。

が、期待値が高かったせいか、どうにも今までより薄い。
SEPの作品はヒロインがぎりぎりの崖っぷちからスタートするのですが、
この状況もいつもより弱い。
会話の軽妙さは、相変わらず他の作家を寄せ付けないレベルなのですが、
お得意のインパクトのあるエピソードがほとんどないのです。
会話でお話が進んでいく感じ。あと「泣けるエピソード」もない。

おなじみのシリーズ登場人物を出して会話させることに重点が置かれたため、
今作カップルのロマンスにさかれた割合が少なくなったのも一因かもしれません。
あと、サブストーリーのカップル(ライバル結婚仲介所の女社長とヒーローの腹心の部下)の、
本編との絡みもやや薄いです。
いつものSEPのコミカルさはばっちり。
ただし、圧倒的なストーリーの力は今回弱かったと思います。
冒険的な要素を押さえ、得意な手札をそろえてきれいにまとめ上げたといった作品です。

とはいえ、やはりロマンスコメディーの女王。
いつもの50%の力しか発揮できてなくても、
面白さの水準はかなり高いです。
そしてSEPの中毒患者にとっては、関連作登場人物達がたくさん登場する今作は
充分に禁断症状に答えてくれる作品といえます。

1作目「あなただけ見つめて」5作目「湖に映る影」との関連性が深いため、
初めて読む方は、先にこの2作は読んでおくことを強くお勧めします。
「シカゴ・スターズ」シリーズはあと1作未訳本が残っていて、
二見で出版が決まっているそうです。楽しみです♪

by yun-yunn | 2007-11-03 10:56 | スーザン・E・フィリップス
愛はジャスミンの香り スーザン・E・フィリップス MIRA文庫
SEPの事実上の処女作にあたる幻の初期作です。
南部戦争直後のアメリカを舞台にしたヒストリカルです。

ヒロインは南部の裕福な綿花農場の一人娘だったが、
父が再婚した継母が彼女を疎んじたため、
8歳から農場の離れで半ば放置されて、少年のような野生児として成長する。
父と継母が相次いで亡くなり、
農場は継母の前の結婚での息子が相続する事になる。
この息子がヒーロー。
南部戦争で活躍した北軍の英雄で、ヒロインとは面識がない。
ヒロインは、何より大事に思う農場を彼に渡さないために、彼の殺害を決意し、
北部まで単身旅をして、彼の屋敷に忍び込む。
納屋に潜んでいたヒロインを見つけたヒーローは、
短い髪と汚い格好をしたヒロインを少年と思いこみ、馬丁として雇う。
2人きりになった夜、ヒロインは彼を殺そうとするが、そこで正体がばれて・・・・。

と、これがほんの導入部です。
この後、ヒーローは母の遺言で、ヒロインの後見人となり、
ヒロインは礼儀作法を教える寄宿学校に入れられ、
外見的には淑女となって故郷へ戻ります。
故郷の農場では、ヒーローが紡績工場を建設して立て直し中で、
ヒロインは結婚したら手にすることができる、祖母の信託財産を使って、
ヒーローから農場を買い戻すために、結婚相手を捜します。
反抗的なヒロインと、支配的なヒーロー。
2人は強烈に反発しあいますが、同時に強く惹かれあってもいて・・・・。

ここから感想です。
事実上の処女作に当たるだけあって、今のSEPを期待するとはずします。
序盤~中盤と設定はよいものの、引き込みと語り口が硬く、
いかにも新人が真面目に書いた・・・といった感じです。
新人としては破格によい作品と言えますが、SEPと思うとつらいですw
正直前半は、読み進むのに時間がかかりました。

が、後半(ややネタバレ)ヒロインとヒーローの結婚生活が始まってからが、
がぜん面白くなってきました。
2人が初めて結ばれるシーンの描写の細やかさがすばらしく、
以降は、ほぼ後年のSEPの土台ができていると言っていいと思います。
非常に面白かったです。

SEPは、作品の中に必ずと言っていいほど、
社会的なテーマを盛り込む作家ですが、
この作品では南部戦争が絡んでいるということで、
「黒人差別」が重要なテーマとして盛り込まれています。
サブヒロインが、ヒロインを幼い頃から見守っている黒人女性です。
彼女は黒人であることで辛い過去を強いられ、
またとある隠された事情からヒロインに対し、
愛と同時に複雑な感情を抱いています。
ヒーローの親友である黒人男性が、
彼女を一目見たときから崇拝し続けていますが、
彼女は白人男性の愛人となることでしか、
今の境遇からはい上がる方法はないと信じていて、
彼を頑なに受け入れようとしません。
このサブストーリーの重さと深さは、今のSEPとほぼ通じていると思います。

いつものSEPのパーフェクトな面白さというわけには行きませんが、
作品としてはかなりの水準の良作だと思います。
ヒストリカル同士で比べるなら、クレイパスより私は面白かったです。
(除く:冬空&もう一度あなたを←別格)
by yun-yunn | 2007-10-19 10:05 | スーザン・E・フィリップス
幻想を求めて スーザン・E・フィリップス 二見文庫
SEPで唯一「積ん読」本になっていた本。理由は設定のえぐさから。

ヒロインは、南部の町で実力者である両親を持ち、
学生時代を女王のようにしきっていた。
が、その後、両親を相次いで亡くし、遺産は後妻と腹違いの妹のもとへいってしまい、
3度の結婚をして、一文無しとなり、
伯母の遺産である隠された絵に唯一の望みを託し、
14年ぶりに故郷へ舞い戻る。

故郷は、昔、ヒロインがいじめ抜いた腹違いの妹が、
ヒロインの母がついていた町の実力者の地位につき、
ヒロインが捨てたBFと結婚し、
そして、ヒロインが性的暴行の濡れ衣を着せて追い払った高校教師が
著名な作家となり、ヒロインの実家に住んでいる。

さまざまな人生経験を経て改心し、過去の行いを悔いるヒロインだが、
町の人々は彼女に対して反感をあらわにし、
隣人となった元高校教師は、彼女をメイドとして雇うことで、
復讐を果たそうと企む。

この元高校教師である作家がヒーローです。
ヒロインの過去、特に妹に対しておこなったいじめの描写が陰湿、
そしてそれに対するかつての親友達と妹の仕返しも陰湿。
この辺が今まで読み進められず、積ん読本となった理由です。

が、その辺を読み抜けてしまえば、ヒロインと妹の確執の原因となった
ヒロイン父の妹への偏愛、お互いの屈折した思い。
姉の捨てた恋人を熱愛し、結婚に持ち込んだものの姉の影におびえる妹の心境。
この妹夫婦の葛藤がサイドストーリーとなっています。

SEPの作品には、明確なテーマが設けられていることが多いのですが、
この作品ではそれとわかるはっきりしたものはありませんでした。
あえていうと「南部」と「愚かしいティーンエイジ」かな?
リンダ・ハワードの「チアガールブルース」でもそうでしたが、アメリカのハイスクールの
「チアリーダー」「人気者」「学園の女王」というのはすごいステータスのようです。
その女王を核とした「人気者グループ」の存在とか、
日本でしか学園生活を送ったものにはピンと来ません。

ヒロインの多様な男性遍歴、腹違いの妹との葛藤<「あなただけ見つめて」
ヒロインが遺産を探してかつて住んだ町に舞い戻り、町の人に嫌がらせをされる<「あの夢のはてに」
サイドストーリーが結婚生活の長い夫婦の話である<「あなたがいたから」他
など、過去のSEPの作品のいろいろな部分を集めて煮詰めたようなお話です。
いろいろな意味で濃ゆいですw

設定と前半のえぐさに難がありますが、読み進んでいくにつれ、
いつものSEPのスピーディーでテンポのよい話運びに引き込まれ、
ラストはお約束の大団円。
エピソードと会話の光り具合は、より練られて磨きがかかってると言えます。

これをSEPのベスト作品と呼ぶひとは少ないでしょうが、
「小説」としてのおもしろさはてんこ盛りです。
スカーレット・オハラの性格に耐えられたひとなら、たぶん全然オッケーでしょう。
by yun-yunn | 2007-01-07 09:45 | スーザン・E・フィリップス
あなただけ見つめて スーザン・E・フィリップス
「シカゴ・スターズ」シリーズの第1作目。とうとう邦訳されました。
「湖に映る影」のヒロイン、モリーの姉、
シカゴ・スターズの女性オーナーがヒロインです。

ヒロインは、父の死後、遺言で父の所有するフットボールチームの
経営権が、自分に一時譲渡されていることを知る。
生前、3度も妻を変え、一度も娘をかえりみることのなかった父の
放蕩娘への報復である。

ヒロインは、17歳の時にフットボール選手にレイプされ、
その事実を父に信じてもらえなかったことから、家出をし、
40才以上年上の有名な画家の愛人兼モデルとして悪名をはせてきた。
が、実は、画家は同性愛者で、
ヒロインはセックスアピールあふれる肉体を誇示することによって、
すべての男達を威嚇し、遠ざけてきたのだった。

ヒーローは、フットボールチームのコーチ。
2人はチームの人事をめぐり、最初からぶつかりあうが、
同時に強く惹かれあい、ヒロインは長年の男性不信を乗り越え、
彼と一夜を共にする。
が、ヒロインを奔放な悪女と信じ込むヒーローは、
彼女との関係を一夜の過ちとし、
子供好きな、保母をしている女性にプロポーズしようと考えている。

チームは経営難でなおかつ、今年のリーグ優勝を果たさないと、
ヒロインを幼い頃から憎んでいる意地悪な従兄のものになってしまう・・・・。
ヒロインの前に2重3重に難問が立ちふさがる・・・。

なぜ、この1作目が長らく翻訳されなかったかについては、
後書きで訳者さんの説明があるのですが、私が思うに、
この作品は日本ではなじみが薄いフットボールチームが舞台であること、
ヒロインにレイプ体験および男性遍歴が激しかった一時期があること、
そしてヒーローと別れた妻の情事が続いていて、その描写もあること、
ヒーローがヒロインと出会ってからも、他の女性と二股をかけていること、
など、一般的なロマンス読者には受け入れにくい要素が
いくつかあるからじゃないかな~と推理しました。

けれど、その部分をさっぴいても、さすが、SEP、すご~く面白かったです。
ヒロインのマリリンモンローばりのセクシーな外見、言動と、裏腹な知性、個性、
傷を負った内面とそれを跳ね返すバイタリティ。
次々難問をクリアしていくエピソード、ヒーローとの歯に衣着せぬやりとり、
クライマックスにむかっての盛り上がり、その収束、落ちの付け方、読後感。
これだけのものがそろっている
やはり屈指の力量のロマンス作家と言えましょう。

この作品がSEPのベスト作品と言えるかは、意見が分かれるでしょうが、
この後人気シリーズ化したの最初の作品としてのパワーは納得です。


by yun-yunn | 2006-12-23 20:19 | スーザン・E・フィリップス
キスミーエンジェル スーザン・E・フィリップス ライムブックス
ライムブックスからの、SEP。3冊目です。

冒頭、ヒロインとヒーローの結婚式のシーンからスタート。

ヒロインは、ロシア系アメリカ人で外交官である父と、
有名モデルの間に生まれた私生児。
父からはかまわれず、母の身勝手に振り回されて生きてきたヒロインは、
母の死後、罪悪感にさいなまれ、浪費をくり返し、
莫大な借金で逮捕されそうになる。
そこで泣きついた父親から、援助の引き替えに、
6ヶ月間の結婚生活を強要される。

その相手が、得体も素性もしれないヒーロー。
実は移動サーカスのマネージャーで、自身も舞台に立つ鞭使いだとわかる。
お金持ちで贅沢に暮らしていたヒロインは、狭く汚いトレーラーハウスで
暮らすことになり、動物恐怖症なのに、動物たちの世話をすることになる。
しかもヒーローは、ヒロインが奔放な母親を反面教師にして、
貞操観念のつよいバージンなのを知らずに、誘惑する気まんまんで・・・。

天然でお人よしで善良で世間知らずなお嬢様ヒロインが、
これでもかといわんばかりに次々と困難に立ち向かいます。
スーザン・E・フィリップスの特徴の1つ「崖っぷちヒロイン」です。
ヒーローは序盤得体の知れない冷酷な人物と書かれますが、
根はいい人です。
ただ、幼い頃の虐待経験から「人を愛する事ができない」と思いこんでいるタイプ。
ヒロインを「頭の空っぽな見かけだけの金持ち娘」と思っているので、
気にはかけてくれてても、信頼していません。
なので、ヒロインはぬれぎぬを着せられたり、
いろいろと悲しい目に会います。

この作家のもう1つの特徴として、かなり明確な社会的テーマが織り込まれることが多く、
たとえばそれは「政治」だったり「宗教」だったり「自己啓発」だったり
ややもすると神懸かり的な「啓示」が語られたりすることもあります。
今回は「動物愛護」がちょっと絡んでいます。

移動サーカスという舞台設定が特殊ですが、そこでの人間関係、エピソード、
ヒロインと動物たちの不思議な交流も、話に色を添えています。
なにしろ登場人物紹介に動物が混じってますからw

長いけど一気読みさせるパワーのある作品でした。
この種の作品だとサイドストーリーで、もう1カップルでますが、
この作品のサイドストーリーは比重が低め。
ヒーローに捨てられてプライドをずたずたにされたサーカス団のオーナー女性と、
手のかかるティーンエイジャーの娘をもてあます曲芸師の男性のカップルです。
by yun-yunn | 2006-07-11 11:50 | スーザン・E・フィリップス
あなたがいたから スーザン・E・フィリップス ライムブックス
昨日出たばかりの新刊です。600P近くあるけど1日で一気に読み切りました。
面白かったです~♪

ヒロインは34才の誕生日を迎えた天才物理学者。
幼い頃から秀でた知能のために周囲との孤立感が強かった彼女は、
切実に赤ちゃんを欲しいと思い悩む。
偶然、隣家のフットボールグルーピーのウエイトレスが、
チームのクオーターバックであるヒーローの誕生日プレゼントに
女性を調達することを頼まれ、ヒロインはヒーローを精子提供者とするために
一夜の関係を結ぶチャンスを得る。

紆余曲折の後、ヒロインは妊娠するが、その事実がすべてヒーローにばれてしまい、
激怒したヒーローに脅迫され、生まれて来る子供のために結婚することに。
形だけの結婚のはずが、マスコミにばれたために、彼の故郷へついていき
偽りの新婚生活を送ることになる・・・。

何が面白かったかって、
ヒロインがヒーローを選んだのが、頭のいい子供を産まないために
「体育会系のおバカ」に見えたという理由からw
対するヒーローは引退近くなった自分の年齢を認めたくなくて
20そこそこの若い女としかつきあわなくて、結婚後ヒロインが34才だと知り
「人生最大の不覚」呼ばわり。
丁々発止に渡り合うどっちもどっちの2人ですw

本作はシカゴ・スターズシリーズの3作目で
未邦訳の1作目(二見で近刊予定)<「ロマンティック・ヘブン」
<「あなたがいたから」<「あの夢の果てに」<「湖に映る影」の順番で、
特に「あの夢の果てに」は今回のヒーローの3兄弟の
残り2人のロマンスで、舞台となる町も一緒なのでつながりは濃いです。

作風としては、「ロマンティック・ヘブン」に非常に近いです。
引退の危機に瀕したヒーローの立場とエゴイストっぷり、
ヒロインにさんざん冷たくしてからやっと自分の気持ちに気づき、
挽回のために四苦八苦するあたりがとても似ています。
ただし、「ロマンティック・ヘブン」のヒーローの
ナルシスティックで陽気なお馬鹿っぷりと比べると
危険に攻撃的で冷酷な感じのするヒーローです。

邦訳順がめちゃくちゃなこのシリーズですが、未読の方ならぜひ、
「ロマンティック・ヘブン」から順番に読むことをおすすめします。
by yun-yunn | 2006-03-11 19:25 | スーザン・E・フィリップス
トスカーナの晩夏 スーザン・E・フィリップス 二見文庫
スーザン・エリザベス・フィリップスの新刊。

ヒロインは独特の自己啓発理論で成功を収めた心理学者。
が、自己の理論と反するように、
マネージャーに全財産を持ち逃げされ、
税金を滞納したことで権威が失墜し、失職してしまう。
折しも婚約者の浮気が発覚し、性的に自信を喪失した彼女は、
心を癒すために訪れたイタリアで、ヒーローと出会う。

ヒーローは、サイコパスな殺人鬼役を専門にこなす
ハンサムな人気俳優。
遺産として引き継いだイタリアの屋敷に休養に来ていて、
ヒロインと出会う。
お忍びで変装中だったヒーローは、イタリア人ジゴロの振りをして、
ヒロインを誘う。
自暴自棄となったヒロインは、彼とベッドを共にするが
自己嫌悪に満ちた悲惨な体験となり、逃げ出す。

数日後、ヒロインは滞在のために借りた農家に到着するが、
偶然にもその農家のオーナーはヒーローで、
2人は近所として鼻をつきあわせて過ごすことになる・・・。

・・・・これに、村人達がヒロインを農家から
追い出そうと謎の暗躍をしたり、
ヒーローの前妻が離婚騒動を起こして、
4人の手に負えない子供達を連れてヒーロー宅に転がり込んできたり、
さらに、それを現在の夫が追いかけてきて、
こちらのカップルもすったもんだがあったり、
とにぎやかなお話です。

キモは、「他人を救う事を生き甲斐とする
聖女的な部分のある潔癖性のヒロイン」と
「自分の生い立ちや過去の振る舞いから、
自分を悪とみなし、そのために悪役しかできないヒーロー」という
なんとも対照的な組み合わせです。
ヒロインが自己啓発を生業とするだけに、
ややテーマが観念的で堅めでしたがが、
このヒーローの設定はなかなか魅力的でおいしかったです。

3月に、ライムブックスからも新刊が出るそうなので、こちらも期待です。
by yun-yunn | 2006-03-01 14:42 | スーザン・E・フィリップス
ファースト・レディ スーザン・E・フィリップス 二見文庫
この作品のヒロインは、なんとアメリカ合衆国のファースト・レディ!
元副大統領である父親に育てられ、
幼い頃から政治宣伝活動のため、有名人としての生活を送り、
有望な大統領候補と結婚し、若くしてファーストレディになるも、
夫が暗殺され、未亡人となったのが今作のヒロイン。
夫亡き後も、妻を亡くした現大統領のために
ファーストレディ役を続けさせられた彼女は、
精神的にとことん参って、変装をして、ホワイトハウスを脱走する。
「普通の人の生活」を体験してみるために。

ヒーローは、硬派ジャーナリストから、
金儲けのためのワイドショーに転身したことを
後悔するジャーナリスト。
死んだ元妻が、14歳と1歳の2人の娘を、
彼の子供として出生届けを出していたため、
血のつながりのない2人を押しつけられそうになる。
彼は子供たちをアイオワに住む妻の母の元へ
送り届けようと、トレーラーハウスで出発。
そこを、出発早々、車と全財産を盗まれてしまった
ヒロインと出くわし・・・。

なんともおかしな4人組の旅のお話です。
7人の妹!・・・という萌えオタ垂涎の環境で育児をまかされ、
断固とした独身主義者となったヒーロー。
14歳の上の娘は、どぎついメイクになめきった口調。
1歳の赤ん坊は、早くも女の本能を発揮し、
ヒーローに取り入ろうと愛想を振りまく。
そして、国家をこよなく愛しながらも、
父親にひかれたレールの上で、
衆人環視の元で生活することに疲弊したヒロイン。
上品で気品にあふれる態度、言葉遣いと、
身分を隠すためのなりふりかまわなさのギャップが素敵ですw
実は彼女と亡き夫の間には性的関係がなくて、
バージンだったりもします。

「あの夢の果てに・・・」は、宗教がからんだお話でしたが、
今回は「政治」という興味深いテーマを、
ファーストレディという親しみやすい視点で
織り込んでいます。
とはいえどろどろした駆け引きや陰謀などは登場せず、
あくまで善良な人々を中心とした人間愛にあふれるお話です。
そして今回も、14歳の娘の心情やなにやら、
涙腺のツボは押しまくりでした。
by yun-yunn | 2006-01-27 18:29 | スーザン・E・フィリップス